インスタ写真の統一感も、レタッチではなく選び方で決まる
九枚が同時に目に入る面では、一枚ずつは良くても、列にすると崩れが分かります。そこで写真の統一感をレタッチで作ろうとすると、たいてい足す方向に進みます。彩度を上げ、明瞭度を上げ、影を持ち上げて、粒子を乗せる。手数が増えるほど、写真は加工の癖で揃い、被写体で揃わなくなります。
本当に効くのは、その前です。撮った中から何を出さないかを決める。基準に合わない一枚は、単体でどれだけ良くても外す。惜しい一枚を残したせいで列が濁ることの方が、一枚少ないことより高くつきます。
そして、暗くすることを統一感と混同しないことです。暗い写真は雰囲気が出やすい一方、素材が読めなくなれば、それはブランドの黒ではなく、ただの潰れです。書き出した画像を実寸で開いて確かめてください。縮小した一覧では、粗さも潰れも小さくなって消えてしまいます。
加工を強くかけるほど、写真は撮影の癖ではなく処理の癖で揃うようになります。短期的には整って見えますが、機材や場所が変わった瞬間に崩れます。捨てる基準を撮影側に置いておけば、加工は軽くて済みます。
色は最後に、しかも「どこまで」だけを決める
写真の統一感を色から作ろうとすると、順番が逆になります。色は、光と背景と距離が揃った後で、最後に細部を合わせるための道具です。
色を決めるときも、方向より強さを見ます。多くの場合、揃わない原因は色の向きではありません。同じ寒色でも、一枚だけ深くかかっていれば、その一枚が浮きます。「どちらへ寄せるか」より「どこまで寄せるか」を決めてください。
判断の基準は、肌や素材がどう写るかです。人物なら血色が残るか。布なら織りが読めるか。木や金属なら、温度が伝わるか。そこが崩れない範囲までが、寄せてよい上限です。
三行に書いて、現場へ持っていく
過去の写真を撮り直す必要はありません。次に撮る一枚で、捨てるものを一つだけ決めてください。
光にするなら、窓は被写体の真横と決める。背景にするなら、無地以外は写さないと決める。距離にするなら、胸から上と決める。一つ守った写真が三枚たまると、四枚目からは自分でも揃え方が分かるようになります。
そして、その一つを言葉にして残してください。頭の中にあるうちは、忙しい日に消えます。「窓は真横」「背景は無地」「胸から上」。この三行が、撮影の場でいちばん強く働きます。
三行が紙になっていれば、外部のカメラマンや社内の別の担当も、同じ列に入る一枚を撮れます。属人的な感覚のままでは、その人が離れた日に列が途切れます。
そして、捨てるものを決めておくと、変えてよいものが自由になります。構図、季節、小物、表情、撮る時間帯。三つを守っているかぎり、そこは毎回変えてかまいません。多くのブランドが崩れるのは変化しすぎるからではなく、守るものと変えてよいものが分かれていないまま、毎回すべてを決め直しているからです。
写真の統一感は、揃える作業ではありません。毎回同じものを捨てられるかどうかです。
次の一枚から、始めてください。