Mireille
Kazan
消えてゆく壁を、消える前に記録する。その静かな実践のために、飾らずに佇む一つの場所を設計しました。
記録する実践に、記憶するための場所を。
彼女の仕事は、壊される前の建築に立ち会い、その表面を写しとること。「私は、機械より先に着く」——消えることの記録が、実践の核にあります。
求められたのは、作品を華やかに見せるサイトではありません。むしろ逆でした。喪失と沈黙を主題にした仕事に、同じ温度の静けさを持つ場所を。ギャラリーの均等な格子ではなく、余白の中に作品が一点ずつ立ち上がる——展示空間そのものが持つ「間」を、スクロールという時間の中に置き直すこと。それが、この場所に課された一点でした。
デザインとは、表面を飾ることではなく、目に見えない温度を設計すること。この場所で下した判断を、一つずつ記録として残します。
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作品の静けさに、画面を従わせる。
半透明の素材に沈むモノクロームのインク——その質感を、画面の側が邪魔しない。黒・光・余白だけで構成し、装飾は置かない。作品が語る前に、余白が語る。
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格子ではなく、余白で見せる。
等間隔のサムネイル格子を捨て、大きな余白の中に作品を一点ずつ。インスタレーションが空間に置かれるように、画面の中でも作品に「間」を与える。
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動きは、消えることの速度で。
スクロールに同期して、作品が音もなく浮かび上がる。速く派手な演出は、消滅という主題を裏切る。動きの理由を、主題そのものから決める。
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言葉を、作品と同じ強さで置く。
「壁が記憶するもの」——彼女の言葉は、キャプションではなく碑文のように扱う。大きな組みで、余白の中に静かに刻む。
見せる設計より、
沈黙させる設計。
何をつくったかと同じだけ、何をつくらなかったかが、その作品の佇まいを決めます。喪失を主題にした仕事だからこそ、意図して手を止めた場所を残します。
均等なサムネイル格子作品は、敷き詰める装飾ではない。一点ずつ、余白の中に置く。埋めないことも設計のうち。華やかな色と演出明るさや賑やかさは、この仕事の静けさを裏切る。モノクロームを最後まで貫く。過剰なモーション動きが多いほど、沈黙は薄れる。動かすのは、必要な一箇所だけにとどめる。
開くと、ほとんど無音のまま始まる一つの場所。作品はスクロールのたびに、ゆっくりと現れては、余白の中へ還ってゆきます。彼女の言葉は、画面の隅に碑文のように置かれる。豪華でも、賑やかでもない——ただ、消えてゆくものの前に静かに立ち会う姿勢だけが、隅々に宿っています。
作品とサイトが、同じ温度で呼吸すること。それが、この仕事の達成でした。
※アクセス数や受注といった成果指標は、この欄には置きません。静けさが最後まで崩れなかったこと——その一点を、私たちはこの仕事の達成と考えています。