Quiet
Tension
国境を越えて、いくつもの事業を営む企業のVI設計。声高に主張する高級感ではなく、静かな品位と、未来への緊張が重なる佇まいを設計しました。
主張せずに、
信頼させる。
事業は一つではありません。国をまたぎ、現場の手仕事と最先端の技術を同時に抱える企業。求められたのは、そのすべてを一つの佇まいで束ねることでした。
多角的な企業ほど、ロゴや色が事業ごとに散らばり、印象が薄まっていきます。必要だったのは、派手な高級感ではありません。信頼・知性・国際性・未来性を、静かに重ねること。名刺一枚から、空間を満たす大画面まで——どの接点で出会っても、同じ品位で立ち上がる設計。それが、この仕事に課された一点でした。
VIとは、ロゴを飾ることではなく、迷ったときに立ち返る基準をつくること。この仕事で下した判断を、一つずつ残します。
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価値を、五つの言葉に絞る。
Trust・Intelligence・Global・Future・Quiet Luxury。形容を足すほど、ブランドは誰のものでもなくなる。五つの言葉を、色・書体・写真のすべての判断の物差しにした。
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暗さを土台に、光を差す。
Deep Navy を七割の土台に、Warm Ivory を一割五分、Muted Gold を一割、Deep Emerald をわずか五分。金は面ではなく細い線としてだけ使う。比率まで決めることで、誰が組んでも崩れない。
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文字も、余白で語らせる。
見出しは上品な明朝で短く。英字は字間を広くとり、少量だけ。本文は読みやすいゴシックで、詰め込まない。強調は太さではなく、余白と配置で行う。
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写真は説明ではなく、空気をつくる。
夜の都市、建築の陰影、素材の肌理、職人の手、一筋の光。安易なフリー素材、派手なネオン、ぎらつく金色は使わない。写真の役目を、説明から空気へ移した。
飾る設計より、
佇む設計。
何を足さなかったかが、その品位を決めます。多くの事業を抱える企業だからこそ、賑やかさと説明過多を、意図して手放しました。
事業ごとの色分け事業の数だけ色を足せば、企業の顔は散らばる。一つの暗さと一筋の光に、すべてを束ねる。面で使う金色金を面で塗れば、品位は成金へ転ぶ。金は細い罫と小さな差し色だけに絞る。情報の詰め込み一頁に一つのメッセージ。すべてを説明するのではなく、要るものだけが静かに浮かぶ構成にする。
頁を開くと、深い紺の静けさの中に、細い金の線と一筋のエメラルドが差している。都市の夜景も、石の肌理も、職人の手も、同じ温度で並んでいます。事業がいくつあっても、出会う人が受け取る印象は一つ——声を張らない、確かな品位。
色と言葉と余白の基準が、この先の名刺にも、空間にも、同じ佇まいを運ぶこと。それが、この仕事の達成でした。
※依頼主の意向により、社名とロゴは伏せて掲載しています。